労災ってどこまでが適用範囲で保険が降りるの?
業務都合で労災災害が発生した時は請求できるのでしょうけど、通勤途中でのケガは労災の適用範囲になるのでしょうか?
ケース1
会社と家の通勤途中にあるお店によって食料品を購入し店内でケガをしてしまった場合、労災は認められるの?
労災認定には2つの基準があります。
通勤災害:通勤途中でのケガや病気を補償するもの
業務災害:仕事中のケガや病気を補償するもの
今回のこのケースでは通勤災害として認められるのでしょうか?
通勤災害として認められるため条件とは、
自宅と仕事場(会社)の往復を合理的な経路および方法により行った場合に通勤となり労災が認められます。(労働者災害補償保険法 第7条参照)
しかし、
通勤経路を逸脱したり、中断した場合には通勤とは認められないため、労災の条件を満たしません。
ただし、
日常生活上必要な行為のための最小限の逸脱や中断をした場合には労災が認められます。
今回のケースでは、
家と会社の通勤経路にあるスーバーで食料品を購入したことは、日常生活上必要な行為に該当するのであれば、労災の対象となります。
では、今回のケースの日用品の購入は日常生活上必要な行為になるのかが問題になります。(労働者災害補償保険法施行規則 第8条参照)
実は、日常生活上必要な行為であっても逸脱中や中断中は労災とは認められないのです。(労働者災害補償保険法 第7条参照)
結果、今回のケースでは、【労災は認められない】のです。
もう一度、今回のケースを確認してみましょう。
通勤経路でのケガや病気であれば労災が認められます。でも今回はお店に寄り、お店の中でケガをしてしまっています。
そのため、通勤経路を逸脱・中断しているとみなされますので労災は認められないという結果になるのです。
お店を出て、通勤経路である道でケガをしたのであれば、労災が認められることになります。
ケース2
会社からの帰宅途中に上司からFAX送信依頼があり、家にFAXが無いため、通勤経路から外れているコンビニでFAXを送ることにした。しかし、FAXを送る際に指を挟み骨折してしまった場合は労災は認めらるのか?
ケース1の場合では、お店の中でケガをした場合、労災は認められませんでした。
今回のケースは、会社帰りに上司から連絡があり、仕事(業務)を依頼されたことからコンビニに立ち寄りました。
労災には2つありました。
通勤災害と業務災害
ケース2では、
通勤途中に発生したケガでは無いため補償の対象にはなりません。
一方、仕事中に発生したケガであれば業務災害の補償の対象になります。
では、
業務災害が認められる条件とは、
会社の支配・管理下で業務を行っている業務遂行性と仕事が原因でケガをした業務起因性があり、業務遂行性と業務起因性の両方の条件が満たされた場合に業務災害の対象となります。
業務遂行性には、会社の人や上司からの指示で社内だけでなく社外で仕事をしている時も含まれます。
今回のケースでは、会社帰りに上司から連絡があり、仕事(業務)を依頼されたことからコンビニに立ち寄りましたので、業務遂行性はあります。
業務起因性については、
仕事のFAXを送る際に、指を挟んで骨折してしまったので、業務起因性はあります。
業務災害としての補償対象になる業務遂行性と業務起因性の条件が満たされているので
今回のケースは労災が認められることになります。
ケース3
共働き夫婦で子供を預ける親族がおらず保育所に子供を預けている。
会社を出る時間が遅くなり通勤経路外にある保育所に急いで向かい、保育所前で転んで足を骨折してしまった場合、労災は認められるのか?
ケース1とケース2に照らし合わせてみると通勤災害にも、業務災害にも当たりません。
それでは、労災は認められないのでしょうか?
個人的な心情的には、女性の社会進出も進んできており、共働きの家庭も増えているので労災認定を認めて欲しいと思いますが。
おさらいになりますが、
通勤災害が認められる条件としては、
自宅と仕事場(会社)の往復を合理的な経路および方法により行った場合に通勤となり労災が認められます。(労働者災害補償保険法 第7条参照)
今回のケースでは、通常の通勤経路から逸脱しており、通勤災害の労災は認められないことになります。
しかし、
厚生労働省通達で共働きのため、子供を他に預ける人がいない時、託児所や親戚等に預けるためにとった経路は当然仕事をするために必要な経路であり、合理的な通勤経路と認められるとなっています。(1973年11月22日基発 第644号参照)
ということは、
会社と家の正規の通勤経路から逸脱している保育所に寄ることは、仕事をする上で合理的な通勤経路として認められることになります。
今回のケースでは、
共働きであり、子供を親戚などに預ける先が無く子供を保育所に預けるための経路は、
合理的な経路となり、労災が認められることになります。