入学式の来賓に呼ばれた場合、来賓の挨拶を頼まれることがあります。
そして来賓は保護者側よりも学校側になって新入生に話をすることになります。保護者代表は保護者側、PTA会長・代表は学校と保護者の両方の立場から挨拶をします。
来賓祝辞はその前に校長先生の話があるため、内容が被らないようにすることが大切になります。
中学校入学式の来賓祝辞の例文1
挨拶項目 挨拶内容 新入生へのお祝い ◯◯中学校へのご入学、おめでとうございます。ご参列のご家族の皆様も、さぞ、今日の日のお喜びのことと思います。心よりお祝いの言葉を述べさせていただきます。 「情けは人のためならず」と「人」の紹介 さて、皆さん、「情けは人のためならず」ということわざを聞いたことがありますか。相手に同情し、優しくしたり甘やかしたりすると、相手のためにならない、という意味だと思っている人もいるかもしれません。でも、本当の意味は違います。相手に良いことをすれば、それは相手に良いだけでなく、いつかは、めぐりめぐって自分のところに返ってくる、という意味なんです。だから「人のためならず」、つまり「人のためではない」と言うんですね。なぜなら、相手に良いことをするのは、自分のためでもあるからです。もちろん、すぐに自分に見返りがあるから、それをねらって相手に優しくするという意味ではないです例えば、今、皆さんが電車でお年寄りに席を譲ったとします。若い人がお年寄りに席を譲るのが当然という風潮が定着していけば、いつか自分が年を取ったとき、中学生が席を譲ってくれるようにもなるだろう、というくらいの余裕を持った気持ちです。 では、もうひとつ。「人」という漢字は、お互い支え合っているという話を聞いたことがあると思います。二本の線が支え合って、ひとつの漢字、「人」という字をつくっています。じつはこれも、「情けは人のためならず」と同じことなんです。
新入生への呼びかけ 相手のためになることをするのが、自分のためでもあるように、相手のことを考え、支えるというのは、自分も同じように相手に思ってもらい、支えてもらっているということです。今、自分の周りにいる人たちのことを考えてみてください。家族や友だちに、たくさん助けてもらっていませんか。みなさん自身は、同じように、相手のことを考え、支えていますか。皆さんと周りの人とがつくる、たくさんの「人」の字がきっとあるはずです。 ふたつの例でお話しましたが、人は、一人で生きていくことはできません。多くの人に囲まれて、多くの人と助け合って生きています。
新入生への期待 皆さんも、これから始まる中学生活で、たくさんの新しい友だちや、先生に出会うことでしょう。ぜひ、その出会いを大切にし、人とのつながりをたくさんつくって、深めていってください。
中学校入学式の来賓祝辞の例文2
挨拶項目 挨拶内容 新入生へのお祝い ◯◯中学校、新入生の皆さん、おめでとうございます。皆さんの入学を心よりお祝い申し上げます。
今日はお祝いの言葉として、元上野動物園園長、中川志郎さんのお話を皆さんに贈りたいと思います。学び続ける大切さ 小学校5年生の少年が、夏休みの宿題にドジョウの観察記録を書くことにしました。ドジョウを見ていた少年は、ドジョウのお腹のあたりから、時々プクプクと泡が出ていることに気が付きました。「ドジョウがおならをしている!」とこの大発見に興奮した少年は、泡が何個出るのか、泡の大きさはどれくらいかなどを調べ、「ドジョウのオナラ日記」としてクラスで発表しました。クラスのみんなは「オナラ」と聞いただけで大笑いで、少年の話を聞いてくれなかったそうです。しかし、担任の先生の提案で、クラスのみんなで観察したところ、たしかに、お腹のあたりからプクプク泡が出ていることがわかりました。実は、ドジョウはえらで呼吸をする他に、腸呼吸という呼吸をしているんです。時々水面に浮かんでは、口から空気を吸い込み、また水に潜ります。そして水中で腸を使って酸素を吸収し、不要になった空気を泡として出します。この泡がまるでおならのように見えたのですね。 5年生でドジョウのおならを発見した少年は、この発見で動物に興味を持ち、その後ずっと動物と関わりながら勉強を続け、一流の動物学者になりました。そして、上野動物園の園長になったのです。もう、わかりましたね。この少年が、最初に申し上げた中川志郎さんです。
最初はどんなに小さなことでも興味を持ち、学び続けると、それが積み重なってすばらしい発見につながっていくことは、ノーベル賞を受賞した白川英樹さん、田中耕一さんが書かれた本や、講演の記録などを読んでもよくわかります。どうか皆さんも、小さなことでも、自分が抱いた興味や関心を大切にし、学び続けることで、大きく育てていってほしいと思います。
保護者へのお祝い 保護者の皆様、本日はおめでとうございます。すぐに結果が出ることを評価しがちな今日この頃ですが、中学生という時代に、自然や社会のさまざまな面に興味や関心を持つことは、将来への種をまくという意味でも、とても大切なことだと思います。お子さんが、自分で見つけた興味を育て、学び続けることができるようお祈りして、簡単ですが、お祝いの言葉とさせていただきます。
中学校入学式の来賓祝辞のポイント
例文1では、「情けは人のためならず」と硬い印象を与えることわざの話をするため、硬い印象から柔らかい印象になるように話の内容を変えていく方がいいです。
どうしても初めは肩に力が入ってしまいますので、慣れてくる後半は、力を抜いてスピーチできるようにリズム感を付けた挨拶にするといいです。
大事な部分を伝える時は、ジェスチャーを使ったり、手描きのテロップを使って分かりやすくするといいです。「人は支えあって一つの漢字と作っている」というところで、使うと印象強くなりますよね。
例文2では、偉人のエピソードを用いて話をしています。でも、最初に「誰の話です」という前振りをあえてしないスピーチ内容もおすすめです。そうすることで、新入生の関心を引いて話の展開を分かってもらいたいからです。
もちろん、種明かしをすることになりますが、含みを持たせながら、子供たちが誰なんだろうと思うように話を持って行くことができるといいです。そうすることで単なる面白い話で終わらないように、大切な話をしているということを認識付けることができるはずです。
まとめ
人という字の成り立ちから、助け合いの心、支えあいの心、人とのつながりが大切だということを知って欲しいという内容です。
もう一つは、何事も続けることが大切であり、小さなことからコツコツと学び続けることが、自分の将来に大きな影響を与える結果になるということを、実際に自分の体験談も踏まえて話してあげる内容です。
2つの文例とも、自分の経験や体験を織り交ぜながら、オリジナルの来賓祝辞にすると良い挨拶文ができると思います。
来賓祝辞の構成を大まかではありますが紹介させて頂いていますので、その流れに沿って、自分の好きな言葉や格言を用いて話をしてあげる方が、話に気持ちが入りますし、抑揚も付いていいです。
1日または2日程、時間を取って挨拶文を考えてみるのもいいと思います。