カジノが日本解禁になると、国民に対してどのような光と影が出てくるのか?経済効果からと治安悪化の側面から諸外国のカジノ事情を参考に考えてみます。
IR(統合リゾート)とは、どんな施設なのか?
IRとは、Integrated Resortsの略で、ホテルや劇場、ミュージアム、アミューズメントパーク、ショッピング、レストラン、カジノなどを一つの区域に含む施設のことをいいます。IRと呼ぶためには、カジノは含まないと行けないようです。
なぜ、カジノという言葉を使わずに「総合型リゾート」という言葉を使っているのか想像してみると、賭博の持つイメージを払拭するために使っていると考えられますね。カジノに賛同できない人たちに向けて、受け入れられるようにカジノという言葉を使わずにIR(統合リゾート)で進めて行こうということでしょう。
IRとして代表的な場所での経済効果のパンドラの箱を開けてみる
シンガポールにあるマリーナ・ベイ・サンズがIR(統合リゾート)として、とても有名です。今では、マーライオンと並ぶ観光名所となっています。
マリーナ・ベイ・サンズの特徴
- 地上200mの屋上にプールがある
- ブランド店・レストランが300店以上ある
- アシア最大のイベントルーム国際会議・展示会などの開催が可能で、その広さ地上4階、地下1階の東京トーム2.6個分もの広さ
- ローリング・ストーンズがライブしたこともある
- カジノは全面積の3%しかないが、全収益の80%にあたる約2500億円!
- マリーナ・ベイ・サンズの面積の3%しかカジノは無いにも関わらず80%の収入を得ていることから、カジノの収益性がどれだけスゴイかが分かります。まさに、稼ぎ頭。/li>
シンガポールの観光客の推移を見てみる
シンガポールは2009年までは観光客が横ばいで頭打ちになっていました。しかし、2008年には世界最大級の観覧車であるシンガポール・フライヤーをオープンし、2009年には東南アジア最大級のショッピングモール「アイオン・オーチャード」とオーブンしています。
しかし、この2つの施設をオープンしても観光客の増加には繋がりませんでした。
そして、IR(統合リゾート)であるマリーナ・ベイ・サンズがオープンした2010年には、観光客が1.5倍から2倍に増えたことから、カジノが経済効果に大きな影響を及ぼしたのではないかと言われています。
日本の訪日外国人の人数は?
海外から日本に来ている観光客の人数について、2013年に過去最高、そして初めて1000万人を突破し、1036万4000人となりました。
そこで安倍首相は、2020年の東京五輪に向けて訪日外国人の数を倍の2000万人にすることを目指していると言っています(2014年1月の観光立国推進国際会議で)。外国人観光客を増やして、日本を楽しむと同時に、お金も使ってもらうような国家に変えていくことが大事であるとの見解。
では、訪日外国人の数を倍にするためには、カジノが「できる」か「できない」かで、2000万人を達成するかしないかが決まると言っていい程のカギを握っているようです。
今のペースだと、2020年までに2000万人を突破することは難しい状況にあり、このカジノを含むIR(統合リゾート)が、大切な位置づけにあると言わざる終えないようです。
IR(統合リゾート)に積極的に手を上げている地域は10箇所
- 北海道小樽市
- 北海道釧路市
- 北海道虻田郡留寿都村
- 北海道苫小牧市
- 神奈川県横浜市
- 大阪府大阪市
- 大阪府泉佐野市
- 長崎県佐世保市
- 宮崎県宮崎市
- 沖縄県
以上の10都市がカジノを含むIR(統合リゾート)の誘致に手を上げている状況となっています。これらの多くの地域で悩みを抱えている問題が、近隣に大きな都市があり、観光に来たとしても、利便性の良い都市部に戻ってしまい、観光客の人数に対して、1割程度しか宿泊客がいない地域もあり、泊まってもらえない観光地となっているのです。
これらの地域が積極的に取り組みをしていくことを表明していることには、その経済効果の大きさにあります。
経済効果としては、不動産、ゲーム機器メーカー、建設業、レジャー産業・ホテル・運送業など地域活性化と雇用促進に繋がるからです。
大和総研が発表した経済効果の試算は、横浜・大阪・沖縄の3箇所でIRを開設した場合の経済効果は計7.7兆円になると試算しています。これは、かなり大きな経済効果になりますね。
カジノを導入した国で失敗した問題点を抱えるのが韓国
1967年に初めて外国人専用のカジノを開設して、現在までにソウルなども含めて17ヶ所にカジノ施設があります。そして、2000年にカジノリゾートとして「江原ランド」を開業し、唯一例外的に韓国人が入れるカジノです。
2012年の入場者数約300万人、納税額約475億円、従業員数約3000人となっていますが、その裏では、近隣に質屋ができ、簡単にお金の融通ができるようになった。
そこで起きた問題が
- カジノ依存症患者がカジノ開設から2013年で5万人に増えたことから、江原ランド・中毒管理センターを開設
- カジノで全財産を失い江原ランド周辺に住み着くカジノホームレス増加
- 江原ランドが出来てから人口が約2万5000人から約1万5000人に減少
- 質屋や酒場が増え、風俗店が増えた
- 子供を育てる環境ではなくなった
カジノが出来たその他の弊害は?
- 不正な資金の「浄化」=マネーロンダリング
- 犯罪が増加する可能性も
- 一番怖い、ギャンブル依存症
日本が認めているギャンブルは
競馬、競艇、競輪、オートレース
日本には4つのギャンブルが認められています。これだけのギャンブル施設が揃っている国は、日本以外にはないのです。それに輪をかけて、刺激的で掛け金が大きくなるカジノが加わるとギャンブル依存症の人が増加する可能性は高いのではないだろうか?
さて、そこでもう1つ気になるのが、ギャンブル依存症率です。
- 日本は成人人口の約4.8%(厚生労働省より)
- 諸外国は成人人口の約1%
と、日本は世界的に見ても、ギャンブル依存症は高かったのです。
まとめ
政府は成長の目玉にするべく、カジノ解禁を急いでおり、おそらくは近いうちに誘致場所に選定され工事が着工されることでしょう。IRは良い面もあれば、悪い面もあります。これは、何に関しても同じことです。
アメリカのカジノ施設などでも、カジノ閉鎖に追い込まれる店舗が今、急増しています。初めは大きな経済校をもたらすことでしょう。でも数年経った頃に、韓国と同じような状況に陥ることが無いとは言い切れません。
日本にいるから、美化されたり、国がどうにかしてくれると思う気持ちが、どこかにありますが、競馬や競輪、競艇、オートレースと一緒に上手くいけばいいと思う気持ちはあります。ただ、大きな違いは、外国人をターゲットにしているという点だと思っています。
これから観光客を日本が増やすには、どのような方法あるのか?
- 和食や富士山などの世界遺産は観光資源にできるはず
- 成田や羽田の空港利用税が高いため、アクセスコストの削減
- 外国人向けサイトの充実
- ビザ発給要件の緩和
- 国際競争力の緩和
そんなに、カジノを含むIR(統合リゾート)の誘致が必要なのか。国はきちんと国民に説明必要があるし、もっと議論すべきことだと感じます。2020年までに訪日外国人を2000万人にするという目標のためにカジノを推進することは、「ダメよ~、ダメダメ」。
さて、あなたはカジノ問題をどう受け取りますか?