国土交通省が初めてタイムラインの運用を適用する
ということを国交相が発表しましたが、
「タイムライン」とは何か知りませんでした。
タイムラインとは、
事前防災行動計画と呼ばれているもので、
予想できる台風や豪雨などの水害に備えるものです。
台風の場合は、上陸時間から逆算して
「いつ・誰が・何をする」かということを事前に決めて
対策を練っておく新しい防災対策です。
- 国交省や自治体が作る「防災行動計画で
災害対策の時間割のようなもの - 台風上陸からさかのぼって「いつ」「誰が」「何を」するかを
具体的に書かれた防災計画 - 国交省原案が固まっている河川などを対象に
2014年7月の台風8号から初適用
企業や会社の中では、避難訓練などをする時なども
役割分担と発生してから、どのような行動をするか
という行動スケジュールを作成していますが、
国や自治体などには、今までそういうのが無かったことに
個人的にはちょっとビックリしています。
さて、今までは・・・
そうなると、今までの運用はどうなっていたのかが気になりますね。
今までは、
- 気象庁が警報などを発令して
- 市町村が避難などを対応する
会社の中では、考えられないことですが、
今まで横連携が取れていないということみたいです。
省庁と市区町村・自治体が事前に対策を作成して
いつまでに何をするかを決めて行動していくためのものが
タイムラインというものみたいです。
タイムラインはいつ頃からどこが運用しているのか?
タイムラインが注目されたのは、
2012年10月にアメリカやカナダを襲い
甚大な被害をもたらしたハリケーン「サンディ」。
その中でもアメリカのニュージャージー州が取った災害対策でした。
ニュージャージー州では4000棟以上が倒壊するも
タイムラインの運用で人的被害が0の地域もあり、
タイムラインの運用が防災対策につながったとの声があります。
日本のタイムラインの現状は?
国土交通省は、国が管理する河川109水系ごとにタイムライン策定を進めており、原案が固まっている河川を対象に台風8号から運用を開始することにしています。
そして、この新しい防災対策のタイムラインは自治体単位でも始まっているようです。
2011年9月に起こった台風11号で甚大な被害を受けた三重県紀宝町では、独自のタイムラインを試験的に実施して2015年から本格運用する予定とのこと。
名古屋市では、国・県・市・名古屋鉄道などと協議して、市内の庄内川が浸水した場合などを想定してタイムラインを策定して2014年度中の完成を目指しているとのこと。
今までは、それぞれがバラバラで防災対策を行なっていたことを
皆で一緒になって同じ目的のために行動するということなので、
連携が取れて非常に効果が期待できると思いますね。
タイムラインとは、どんなモノなのか?
タイムラインとは、どんなものなのか見たことが無い人がほとんどだと思います。
実際に渡しもタイムラインのことを台風8号から適用するということを聞いて
タイムラインとは何?と思ったのですから。
私の住んでいる自治会でも、過去にタイムラインの話は出たことがありません。
日本国内で、タイムラインの生まれるきっかけとなったのが、
平成25年(2013年)10月の伊豆大島の土砂災害で
その時の教訓を生かしていくために検討されてきたようです。
さて、日本での「タイムライン」導入となったキッカケの
伊豆大島土砂災害がどんなモノだったのかを確認してみます。
平成25年(2013年)10月の伊豆大島の土砂災害
- 死者36人
- 行方不明者3人
2013年10月15日 大島町町長と副町長が出張中
気象庁 17:38 大雨警報発令
気象庁 18:05 HPで土砂災害警戒情報発表
東京都 18:05 大島町にFAXで連絡⇒全職員が一時帰宅のため気が付かず
2013年10月16日
大島町 24:00 FAXに職員が気がつく
気象庁 02:32 記録的短時間大雨情報
気象庁 2時~3時 土砂災害発生
大島町 03:15 総務課長が町長に連絡
総務課長 「かなりの被害」
大島町長 「夜中の避難は危険」(2013年10月31日 朝日新聞より)
⇒これにより、避難勧告を出すことが出来なかった
この伊豆大島の土砂災害時の対応についての反省を踏まえて、
市町村長が避難勧告等を躊躇することなく発令できることと、
夜間の豪雨が予想される場合を考慮して予め発令基準を明確にすることが必要とされ、
防災行動計画になるタイムラインの策定に繋がったのです。
そして、このタイムラインは、災害が起こってから何かをするのではなく、
災害が発生する予測が経った時点で、
どういう行動を取るべきかを決めたものです。
例えば、台風上陸24時間前までに何をするのか?
気象・水象情報
- 台風予報
- 台風に関する気象庁記者会見
- 特別警報発表など
河川事務所など
- 施設(ダム・水門・排水機場等)の点検・操作確認
- 災害時対策用資機材・復旧資機材などの確保など
市区町村
- 水防団などへの注意喚起
- 休校の判断、体制の確認など
住民は
- テレビやラジオ、インターネットなどで気象警報などの確認
- ハザードマップなどによる避難所・避難ルートの確認
- 防災グッズの準備
- 災害・避難カードの確認
- 自宅保全など
※避難カードとは、大規模な災害の発生に備え何をすべきか、
また、どうすれば支援が受けやすいかなどをまとめる「手引き」と、
必要最小限の情報を記入する、携帯用の「避難カード」のことで
お住まいの市区町村で配布されています。
※自宅保全とは、自宅を安全であるように備えることで、
土のうを準備したり、ベランダの植木鉢など飛びそうなものを片付ける。
雨戸を閉めますが、雨戸が無い場合には窓に粘着テープを貼り、
カーテンを閉めてガラスの飛散を抑える備えをする。
避難時の必要な準備をする。
- メガネ、老眼鏡
- 常備薬
- 携帯電話の充電
- 非常食
例えば、台風上陸18時間前までに何をするのか?
市区町村
- 管理職の配置
- 首長もしくは代理人の登庁
- 避難所開設の準備
- 要配慮者施設、地下街、大規模事業者に洪水予報伝達
- 住民に要配慮者避難開始の連携など
住民は
- 要配慮者避難開始など
大島町でのケースがここでは盛り込まれており、
必ず管理職を配置したり、代理人を立てたりすることで
対応できるように明確化されています。
そして、住民も踏まえた横連携が明確になっているのが
このタイムラインによってよく分かります。
あとは、きちんとした対応していく必要がありますね。
タイムラインの問題点や課題・デメリットとは?
タイムラインは予想のつきやすい災害である
- 台風
- 地震による津波
- 火山噴火
- 豪雪
などに限られるようです。
前兆のないゲリラ豪雨などは予測がつかないため
事前にタイムラインの作成は難しいということがあるみたいですが、
タイムラインを踏まえた臨機応変な対応が必要のようです。
マニュアル通りに動かないといけない時もあれば、
マニュアルに無いことは、状況に応じて対応する必要が発生しますね。
働いていれば、そんなことは当たり前のように思いますが、
国・県・市区町村が動く時は難しいんでしょうね。
各窓口に行っても、振り回されるだけの時に実感します。
それに、気象に関することが関係しているので、
このタイムラインに気象予報士が参加することがなかったり、
市区町村または自治体と住民の間での取り組みがまだ希薄だと思います。
これからのことかも知れませんが、各自治会でも災害対策時の
タイムラインの策定は必要になってきそうです。